顔や名前以外のさまざまなことは思い出せるのに、名前だけ出てこない、ということはよくあることです。

これはなぜかという話の前に、記憶について研究したヒグビーの理論を紹介しましょう。

彼は、記憶や学習において重要なことを 7 つ挙げています(。

簡単に言うなら、強く記憶に残りやすいものとは、
「意味がわかりやすいもの」
「ルールがあるもの」
「何かを連想しやすいもの」
「イメージが浮かぶもの」
「注意を向けているもの」
「興味があるもの」
「覚えたことを確認できるもの」です。

名前がなぜ思い出せないかというと、このヒグビーの理論と照らし合わせるとわかります。
名前にはもともと意味がありませんし、何かイメージがわいてくるものでもありません。

名前はその人自体とは関連が薄いものなので、覚えづらいのです。

名前は自己紹介のときに一度聞くものであることも、覚えづらい理由の1つ。
もともと記憶に残りづらいものを1回で確実に覚えなければならないとしたら、何かしらの努力が必要でしょう。

記憶にまつわる研究で有名なのが、 ドイツのエビングハウスです。
彼は無 意味な綴りを覚えたときの、忘れる速 度について調べました。
それによると、 覚えた 20 分後には 42 %を忘れ、 1 時間 後には 56 %、 1 か月後には 79 %を忘れ るそうです。
これをグラフにしたもの は「エビングハウスの忘却曲線」とし て知られています。